第6話:詰め係、卒業。

みーぬ

先日公開した第5話で、2023年末の攻防戦のことを書きました。

あの回の最後にちょろっと書いた、電話口に置いてきた一言。

「おかあさんの味を一番わかってるのは、お兄ちゃんなんじゃないの?
一緒に味を見て、ちょっと塩が足らないとか、そういうことを言ってあげることが大切なんだとおもうよ」

今日は、この一言のその後の話。
正直に白状すると、置いた本人はすっかり忘れかけてました。そうなったらいいなとは思いつつ、その後全くその話題は立ち消えになってたし、伏線はどこにも見当たらなかったから。

例によって、これはわたしから見た景色の記録です。

2024年元旦|味が、しない

あの攻防戦の末に元旦に帰省して食べたおせち。

いつもより、ちょっと塩が足りなかったんだよね。
味が薄くて、あんまり味がしない。

カツオくんが電話で怒鳴ってた「おふくろは、味付けがおかしくなっとんじゃぞ?!」は、やはり真実で、すそこ様の料理が大好きなカツオくんにとっては本当の死活問題となっていたんやな、と。

それなのに、私の言ったアドバイスは生かされることなく、すそこ様の塩分濃度はおかしいまま。

ここが、三年史のはじまり。

2025年元旦|おせち、大炎上

翌2025年のお正月。この年のおせちは、前年とは逆方向に振り切れとりました。

相当にしょっぱい。しかも焦げてる。パサパサ。
そして、なぜかいつもの3倍くらいの量がある。

誰がこんなに食べるの?っていう量を目の当たりにしてクラクラする私と旦那ちゃん。

何故なら、あのメンズ2人はおそらく美味しくないものはわかりやすく食べないから。

残ったら残ったですそこ様は落ち込んで鬱モード&あんたらのために作ったのに!と私たち2人に責任転嫁する未来がわかりやすくみえるから。

で、実際にはどうなったかというと。
普段は人一倍、誰よりも食べる大食漢のウニ男さんが、ほとんど手をつけない。カツオくんも、ほとんど手をつけない。

わたしたち夫婦だけが、無理して食べる……

(ぅぅう。 塩分超過で倒れるんじゃない?)


食べきれない分は、残ったらすそこ様が気にすると思って、ホテルにお持ち帰りまでして食べました。ホテルのごみ箱に生ごみを捨てるわけにもいかないから。

で、その結果、何が起きたと思います?

姑すそこ
姑すそこ

あんたらが食べると思うてるから、こんなにたくさん作ったのに。
全然食べよらんから、こんなに余ってしもうて。
おかあさんも作るのが大変じゃし、こんなに余るんやったら、もうおせちは作らんで。
これからは料理屋さんに頼んだおせちにするから。ええな?
もう、おせちは作らんから我慢せられぇよ。
あんたらが食べんのがいかんのじゃから

そばにはウニ男。うんうんと、タッグ体制です。

みーぬ
みーぬ

おーい。あんたのこのしょっぱくて旨みのない料理を、一番食べたのは私たちなのに?!
お持ち帰りまでしたのに?!

大量に残った原因は、味と、量と、あなたの夫と息子の箸なんですけど?!

そして、ここからが本題です。

「おせちはこれからは料理屋さんに頼んだらどうですか? おかあさんの負担になるから。私が注文しときますよ。唐揚げとかのおかずは今まで通り作ればいいし。ただお正月料理やお重は形だけのもんだし、今は食べやすいような色々なものがありますよ」

——これ、わたしが何年も前から言い続けてた提案なのよ

そのたびに、すそこ様はこう却下してきました。
「あんなのは高いばかりで、うちの家族は誰も食べんから」

それが、ですわ
さも自分たちの発案であるかのように、しかも「我慢せられぇよ」という恩着せの形で、再登場してきたわけです(-。-;

却下された提案が、時を経て、本人の発明として帰ってくる。
この現象、当ラボではおなじみとはいえ、ですね…(→記憶の上書き保存の回)。
食卓版の実例までついに登場しちゃいました。

ちなみにこのしょっぱいおせちの正月、わたしは別の場所でも人生初の反撃をするんだけど、(先ほどのリンク先参照)
いろいろあった正月だったんです、2025年は。

我慢の限界をはるかに超えてくるんでね(ー ー;)


2026年元旦|黒豆の逆転劇

そして今年、2026年の元旦。

宣言どおり、食卓には料理屋さんのおせちが鎮座しておりました。
立派なやつです。お高いやつです。

で、その料理屋さんのおせち、どうなったと思います?

いいとこだけ手をつけられて、ほとんど残りました。

まさにすそこ様の予言通り。
「あんなのは高いばかりで、うちの家族は誰も食べんから」って言ってたけど、まさかの、ご自身の却下理由が的中です。そこは当たるんかい。

すそこ様の手料理は、お惣菜がプラスであるだけ。
あの何段ものお重の時代は、静かに終わっていました。

ところが、です。
そのお惣菜の中の黒豆に、男性陣が沸きまくり。

「黒豆はやっぱり、すそこの味付けが最高じゃなぁー」

ウニ男とカツオくん、大絶賛。

……ん? ちょっと待って。
味、元通りになってない?

2024年は塩が足りず、2025年は激塩&焦げだったのに。
2026年の黒豆は、いつもの味に戻ってる。

なんで?

その答えは、後日、カツオくんの口から明かされました。

「おとんや俺が味見をしたんじゃ」

…………。

それ。
それな。
2年前の電話で、わたしが言ったやつ。

「一番わかるのはお兄ちゃんなんじゃないの?
一緒に味を見て、ちょっと塩が足らないとか、もうちょっと甘いとか、そういうことを言ってあげることが大切なんだとおもうよ」

あのとき恫喝の嵐の中に置いてきて、誰にも拾われずに転がってると思ってた一言が、2年かけて、ちゃんと黒豆になってた。

ふふん。

今までの苦労が、ちゃんと結果に出てきてます。

それにしても、ですよ。
お高い料理屋のおせちは残って、絶賛されたのは黒豆。
この家族が愛してたのは、料理の質じゃなくて「おかんの味」。

まぁ わかってはいたけど。
そして、その味を守ったのは、味見役になった男たちだった、というわけ。

(カツオくんがなんで急に味見なんてするようになったのか、については、話せば長いので、また別の回で)


詰め係、卒業

で、わたしはというと。

今年の元旦、実質、何もしていません。

あんなに大声で守られていた「おせちのお重に詰めるんは、みーぬちゃんの役目」。
「これからは必ず大晦日に帰ってきて、おせちを詰める」と約束までさせられた、あの役目(→第5話)。

それが、なんと なんと

詰めるべきお重が、そのものがない。

あの約束は、あのお役目は誰も解いてくれはしなかったけれど。
「もう詰めなくていいよ」とは、誰にも言われてはいないけれど。

約束のほうが、先に朽ちました。

あんなに「みーぬちゃんがお重を詰めるんよ!!」って私に詰めてきて大騒ぎしてたのに。 

卒業式もなければ、卒業証書もない。
役目が解かれたんじゃなくて、役目の土台のほうが消えました。
詰め係の卒業って、こういう形でやってくるんだなぁ…(遠い目)

喜んでいいのか、なんなのか。
正直、ちょっとだけ複雑な気持ちも混ざってるんだけど、この卒業は、病気の進行とセットだからね。

でも、これだけは言わせてください。

布石は、撒いておくもんです。
拾われるまで2年かかっても、拾うのが想定外の人でも、ちゃんと芽は出る。

詰める役割をいつの間にか卒業させられた話でした (ぺこり)

(布石戦略の先行成功例はこちら→バターケーキの回/詰め係の実態→詰めロボの回/味付け=聖域の構造→かまぼこ係の回

ABOUT ME
みーぬ
みーぬ
観察系記録ライター
義母との複雑な関係をきっかけに、 “家庭”という名の舞台に仕込まれた違和感を見逃さず、 観察・分析・記録を始めました。 このブログでは、 心を守るための言葉を綴っています。 最初は、誰にも言えない気持ちの吐き出し。 でも、記録しながら自分の感覚を取り戻し、 今は“自分で自分を守れる言葉”を紡いでいます。 私にとって「書くこと」は、 日々のズレや不安から自分を切り離す、小さなサバイバル術です

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