【第3章・後編】「私は本音でしか話さない」=感情操作マウントだった件

みーぬ

義実家という観察対象 ~第3章・後編

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「本音で言ってえや」の空気圧がすごい

「おかあさんは裏表のない人間じゃから、そのまま思ったことを言うんよ」

「おかあさんという人間は正直者じゃから嘘は嫌なんじゃ」

「遠慮をせんと、おかあさんには本音を言いなさい!」

「本音で話してくれんと、おかあさんは悲しいんよ」

「お嫁さんとはなんでも言い合える関係でいたいんよ」

「本音で話さん人をおかあさんは好きではないし、人として信用できんのよ」

「みーぬちゃん。何かおかあさんへ不満を思うことがあるんだったら言ってみて」

本音を言わない人は信用できないというレッテルを貼られる

―義母すそこ様の「本音で私は言う人なんよ」キャラは、
かなりの圧強めではあるものの…

一見、開けっぴろげで、懐が大きくて何を言ってもおおらかに受けとめてくれるような、自分には気を遣わなくていいよという開かれたスタンスに見える。

でもこれ、こっちが「本音を言わない=信用されない人」ってラベリングされてません?

それに、これらはものすごーく気を付けないといけないトラップでもある。

「何を言っても受け止める」とか無礼講的な事を言葉としては一度も言ってくれてないからね。
調子をこいて本音を言ったら最後。
途端にすそこ様は気分を壊され…害されて、こちらが“悪者”にされるだけだから。

うまーいこと、かわしていくしかない。
これはもう…

みーぬ
みーぬ

「言え」って言われたから言ったらどちらにしても詰むやつ・・・


「本音でしか話さん」は「この後なに言ってもよい」と自分にライセンスを与えるタグ

これのさらにたちが悪いのは、すそこ様考案のこのシステムを使うことで
すそこ様がこの後、なんでも言ってよい状態を自分に与えてしまってるところ。

「悪くとらないでほしいんだけど」という事の罪深さ

「私は正直者!」という看板をひっさげて、本音でなんでもかんでも好きなことを言える無敵カードを持つすそこ様。

何故に無敵カードを持っているかというと
それはある枕詞をつけているから。

それは「悪く取ったらいけんよ」

「悪くとらないでほしいんだけど」
と事前に宣言するということは、

  • これから言うことは悪く受けとられると自分でも分かっている、ということだし、
  • その上で言いますよ、と相手へ許可どりもなく勝手に自分で許可しちゃってて、
  • 受けた側が悪く取りたくても、「悪く取らないでねと言ったよね?」と言い逃れもできて、
  • さらには、「なんで悪くとるの? 悪くとらないでと言ったよね?」と相手を責めることもできる。
  • その上で、どんなことであっても悪気なくなんでも言えちゃう。

「悪く取ったらいけんよ」の一言があるだけで
言われた側が悪い、という罪悪感のプログラムが仕組まれていて立ち上がっちゃってる。


そもそも「本音で言え」と言われても、言える立場じゃない

これも、すそこ様の構造の厄介さ。

  • 義母という立場
  • 年上で、家族の主軸で、周囲に「できる女」として君臨している

そんな人から「本音で言ってえや」と言われても、言えるわけがない。
言えば「冷たい」「ひどい」「おかあさんは傷ついた」と一気にすそこ様は被害者に。
言わなければ「本音を言えない冷たい嫁」へと加害者に私がされる。

→ つまりこれ、**どっちに転んでも“こっちが悪者になる構造”**になってるんだもの。

そして最初からこの仕組みが張られていたことで、
私は、ずっと言葉の行き先をなくして言葉を飲み込んできたんだよね。


「本音で言ってえや」の罪

姑すそこ
姑すそこ

本音で言ってえや。おかあさんにはな、何でも話してえんよ

まるで、本音を言わない人が悪者のような空気。

それではさも私が気を許してないみたいじゃない。
ひとに本音を言えと言う人が、
その本音をしっかり受け止める空気はないのに。

みーぬ
みーぬ

言ったら最後、気分を壊されたと思われる。
言わないと、本音を言えないと見なされる。

これ、すでにトラップでしかないんよね。

言わなかったら言わなかったで
「なんで家族なのに気をつかうん? 水臭い」って逆に怒られたりしちゃうから


「本音で言ってるんよ」というライセンスの作られ方

「私には自分と同じように何でも本音で話す親友がいるんよ。

その人とはお互いに本音で何でも遠慮なくズケズケ言い合える仲なんよ。

おかあさんも本音でものを言う人じゃけど、この人も本音でものを言うからおかあさんはTちゃんのことが信用できるんじゃ。

親友いうんは、おかあさんとTちゃんみたいな何でもかんでも本音で言い合える関係のことを言うんよ。

みーぬちゃんにも私みたいにそんな親友を作ってほしいと思うんよ。
そんな親友がいつかできるといいね」

…軽くちょいちょい悪気なく失礼な物言いをなさるのがすそこクオリティ。
当時すでにアラフォーだった私に対して親友がいない前提で言ってくれてありがとう

まぁ、それはさておき
一見すると、なんて素敵なポリシー!と思いそうなものだけど
それは、どんな素顔の話でも、「本音で言ってくれたら、こっちも本気で向き合えるのに」
みたいな理想をぐいぐい押し付けてくる。

すそこ様がいいたげな「本音でしか話さん人間」というスタンスは、
実際は「ズケズケ言い放題ライセンス」でしかなくて、
それを利用して「私は正直な人」というブランドをひっさげたかっただけなんだよね。

でもそれ、全然正直じゃない。

ただの「ズケズケ言うけど、私の本音なんよ」って言えてしまう身勝手なライセンスでしかない。

本音で言う私って一段位の高いレベルの人間なのよ、と言いたげでもあるし。

私がモヤるのは、別にすそこ様が本音で言うのは別に好きにすればいいと思うけど
(好き勝手に言えば人によっては距離が離れていくだけだから)

それを相手に求めてきたり、強要してきたりするところが嫌なんだよね。

思ってることって全部言わなきゃいけないの?

そもそも論だけど
思っていることを全部言わなくちゃいけないの?

別に言う必要なくない?
言う・言わないは相手が決めることじゃなくて本人が決めていいと思うんだけど。
必要あれば言うし。
どんなに親しい人でも、信頼できる人でも全部言う必要なんてないって私は思う。

例えば嘘をいうわけじゃない。
単に言わないだけで、それって責められることじゃない。

あえて意図的に黙ってたりすることもあるかもしれないけれど
でも、大抵の悪意のない人は、今は言うタイミングじゃない、とか相手への気遣いで言わなかったりしてるだけ。
ちょっとしたことのズレの積み重ねとか、すれ違いとかになったりもするけど、
それって優しさとか思いやりとかそういうところからきてる気がする。

本音の対義語は“嘘”?

すそこ様の言動から察するに、おそらく”本音”の対義語を”嘘”だと思ってる節があるんだよね。
あそこまでの執着と、本音を言わないことは悪ということへの価値観からして。

いやいやいや・・・ 対義語は“建前”でしょ!

すそこ様は、本音の対義語は嘘だと思っていて
私は、本音の対義語は建前だと思っている。
ここが、私のモヤる原因というか、すそこ様と相容れないところだと思う。

一般的な「建前」の概念としては、
嘘のない本当の気持ちである本音の対義語であり、本心を隠して遠回しに気持ちを伝えていくことで、嘘と混同されがちだけど、他人を騙す意思があるのが嘘であり、建前は騙すという意味はないとされている。

ってことなのよ。
すそこ様は、逆に「建前」をあまりいい意味に捉えていなくて、「おべんちゃら」として受け止めている。
そう考えると、すそこ様があそこまで執拗に「本音」にこだわるというか、本音で話さない人のことを悪く言う理由に納得ができるんだよね。


本音じゃなくて、建前でいいじゃん!

本音を言うからって、正直者である証拠なんかじゃない。
むしろ、世の中の人が全員本音で言ったら世界はめちゃめちゃになる、って話だもん。
建前は、社会で生きていく上で絶対に必要だから。

相手のことを思って、尊重するために本心を隠して表向きの言葉を伝えて何が悪いんじゃ!


エピローグ|本音のすり替えに、もう振り回されない

すそこの善人トークは、もうお腹いっぱい。
「悪口言わない」
「本音でしか話さない」
──そう言いながら、周囲に気を遣わせて、モヤを背負わせるから。

それって本当に正直者?
それってほんとうにやさしい人?

みーぬ
みーぬ

善人の仮面をかぶった支配ほど、わかりにくくて、逃げにくいものはない!

だから私は、
もうその“看板”に振り回されない。騙されないんだから!!
「言葉の善人さ」より、「関係の居心地の良さ」を感じたい。

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みーぬ
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観察系記録ライター
義母との複雑な関係をきっかけに、 “家庭”という名の舞台に仕込まれた違和感を見逃さず、 観察・分析・記録を始めました。 このブログでは、 心を守るための言葉を綴っています。 最初は、誰にも言えない気持ちの吐き出し。 でも、記録しながら自分の感覚を取り戻し、 今は“自分で自分を守れる言葉”を紡いでいます。 私にとって「書くこと」は、 日々のズレや不安から自分を切り離す、小さなサバイバル術です

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